日本では中学校や高校で部活が必須の学校も多いですよね。
一部の部活が強かったり有名な学校ではそれを売りにしている場合も。
その為先生たちが部活動の顧問や監督を引き受けねばならず、
休日返上で土日も練習や試合に費やすことが多いです。
オーストラリアの学校には部活がありません。
なので、先生たちも授業が終わり翌日の準備ができていればすぐに帰るし、
夏休みや冬休みなどの長期休暇に、部活で時間が潰れることもありません。
部活がないからと言って、オーストラリアの子どもたちがスポーツや文化活動をしない
というわけではなく、学校外で習い事のような形でクラブに参加しています。
部活はないのにスポーツ大国のオーストラリア
オーストラリアの人々は基本身体を動かしたり、スポーツをするのが好きです。
それは子どもたちも同じで、息子が通っているチャイルドケア(保育園)でも
毎週子ども専門のスポーツの先生たちが来て、一緒に身体を動かしています。
オーストラリアの学校には部活動こそありませんが、
学校外でクラブチームに所属している子どもが多いです。
日本でいう習い事のような位置づけだと思います。
専門の知識を持ったコーチや監督が有償で指導します。
日本の部活のように、先生がボランティアで部活の顧問を受け持つことはありません。
学校によってはスポーツに力を入れている学校もあります。
スポーツに力を入れている学校では、
選択科目でスポーツ科学専門の授業(トレーニング法や、体のケアなどの体育学)があったり、
体育の授業も、フットボール、サッカー、クリケット、水泳など特化して分かれており、
教科ごとに専門のコーチが付いて指導します。
元同僚の息子さんは推薦でスポーツ特化型の学校へ進学しました。
豪州は人口が少ないにも関わらず、オリンピックでは複数のメダルを獲得しているところを見ると
このように、子どもの頃からスポーツ推進に対しての体制が整っていることも
関わってきているのかなと思います。
日本の学校のように、スポーツに関する知識が素人の先生が部活の指導をする、
というのはオーストラリア含め、海外各国の国でもあまりありません。
子どもに人気のスポーツランキング
6歳~13歳までの子どもを対象とした2016年の統計です。
オーストラリアの子どもたちに人気のスポーツって?
- サッカー(48.7%)
- バスケットボール(30.5%)
- クリケット(25.7%)
- ネットボール(20.5%)
- オーストラリアンフットボール(17.9%)
- ラグビー
やはりサッカーはどこの国でも人気ですね。
日本の方からすると、クリケットやネットボールは見慣れないものかもしれません。
クリケットはイギリスを始め、オーストラリアやインド、南アフリカで人気のスポーツで
競技人口はサッカーに次いで世界2位と言われています。
バットとボールを使うスポーツで野球に似ている部分があります。
ネットボールはオーストラリアの女の子たちにとても人気のスポーツです。
こちらも主にイギリス連邦の国々で競技されています。
私も試合を観に行ったことがあるのですが、
ボールをパスのみでつなぐ、バスケットボールに近いスポーツだなと思いました。
スピード感があり、見ているだけでも楽しいですよ。
オーストラリアと日本の違い 部活編
日本の学校の部活を見てみると、
- 生徒や先生(顧問)が夜7時過ぎまで残って練習している
- とにかく勝つことに重きを置く
- 親の関りや負担も大きい(送迎など)
などが上がると思います。
オーストラリアでは学校の延長で夜7時まで生徒が学校に残っていることがありえません。
そして日本では部活の顧問を先生が担うことによって、先生側の負担も増えます。
平日のみならず、休日も試合や練習に時間を割くことになります。
先生たちだって週末は休みたいし、家族や大切な人と過ごしたり、自分の余暇を楽しみたいはず。
こちらではプライベートをしっかり区別するため、
仕事(学校)とスポーツの指導は別物として分けられています。
そしてオーストラリアの学校ではスポーツに関して、勝つことだけにこだわらず、
チームワーク、栄養学、身体ケアなど様々な面から指導を行います。
将来競技するだけでなく、指導者の立場に立って考える力が付くことと、
スポーツを通して社会性を身に着ける、という面でも役立っています。
オーストラリアでは部活がない分、子どもたちは外部のクラブチームに所属します。
サッカーを例にすると、クラブチームには組織や地域リーグとの結びつきもあり、
大人から子どもまで、年齢ごとにチームが構成され、
リーグでは実力が同じようなチームと試合をします。
いい成績を収めれば個人昇格などもあり、上のレベルのチームへ配属されます。
レベル分けがされていることにより、一人一人が試合に参加できる機会が増えます。
プロとして活躍を視野に入れている場合も、このようなステップを踏んだり、
プロチームの下部組織に入れるように、個人で努力することが可能です。
日本ではスポーツも学校単位の部活に偏り過ぎているのが印象です。
そして学校により実力の差も様々です。
部活に力を入れている強い学校では、勝つことに焦点が置かれます。
するとどうなるか、試合に毎回出る子どもと、出られない子どもが出てきます。
その差が開いても、試合に出られない子が学校を転校することもできないので、
在学中はほとんど試合に出られないなど、悔しい思いをすることもあります。
部活に対する考え
日本の部活動に対してのネガティブな面ばかり上げてしまった気もしますが、
私は学生の頃の部活動に対して思い出がたくさんあります。
楽しかったし辛いこともありましたが、部活なしでは私の青春は語れないくらい、
部活が生活の一部でした。
ただ教育現場で働くと、教師側からの視点で見る側面が多くなり、
日本の先生たちは日々の業務に加え、部活動も休日関係なしにある場合、
いつ休めるのだろうと心配になります。
日本の学校でも部活の時間は、外部から専門のコーチや先生を呼んで全て外部委託するなど、
先生たちの負担が軽減するやり方を考えられるのでは、と思っています。
子どもたちにとっても、専門の知識を持った大人から指導を受ける方が
技術を伸ばす面でも、技術以外の様々な知識を養う面でも効果的ですよね。
文部科学省は教員の働き方改革の一環として、2017年に部活動指導員の制度化を実施しました。
松野文部科学大臣はこのようにコメントを出しています。
「部活動指導員の制度化により、地域のスポーツ指導者等が部活動の指導や引率を職務として行うようになりますので、生徒の技術の向上に資するとともに、教員の業務負担に資するものと期待しています。」
しかしまだまだ浸透していないのが現状のようです。
今後の日本の学校での部活動指導の在り方も、徐々に変わっていくことを期待しています。
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